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廃業には3つの手法がある

廃業には、主に

・清算
・破産
・休眠

の3つの手法があります。以下の画像は、廃業を決めた経営者が3つの手法のうちどれを選ぶべきかを簡単に示したフローチャートです。

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なんとなく名前は知っていても、実際にどのような手続きをするのかイメージが沸かない方が多いかと思います。

この記事では廃業手続きで特に多い、「清算」と「破産」にはどのような手順があるのかを解説します。また、これまでに弊事務所が解決してきた事例もご紹介致します。

清算手続き


清算手続きとは、会社に残った財産を換金し、処分する手続きのことです。
債務超過になっておらず、資産の方が多い場合に使われます。

清算をする場合、まず会社の事業活動を停止するための「解散手続き」を行います。解散手続きが終わってから、本格的に清算手続きを行うのです。
いわば、解散手続きという下準備をしてから、目標である清算手続きを行うといったイメージです。

解散手続き

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清算手続きをする前に、「清算人」という役職を用意しなくてはなりません。一般的には、清算手続きをする会社の取締役が任命されることが多いです。

解散手続きでは、まず株主総会で会社の解散決議を行います。それと同時に清算人の選任も行います。
選ばれた清算人は、

・株主への通知
・解散及び清算人登記
・税務署への解散届提出
・債権者に対する公告と催告

を行います。

※清算人が職務を怠ると、賠償責任を負うと法律で定められています。清算人は会社の解散手続き、清算人就任登記、清算終了の登記を最後まで行わなくてはなりません。

清算手続き


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清算人は、解散手続きに続いて、財産目録・貸借対照表を作成します。
財産目録とは、現預金や売掛金などの資産、借入金などの負債などをまとめた明細票です。
一方、貸借対照表は会社の資産と負債の概要をまとめたものです。

株主総会で、提出された財産目録・貸借対照表が承認されたら、解散日の翌日から2ヶ月以内に確定申告書を提出します。
その後決算報告書を作成し、承認されたら、

・清算結了届け
・清算結了登記
・確定申告書の作成・提出

を行います。

株主総会の決算報告承認の時点で会社は既に消滅していますが、登記を行うことで社会に会社の消滅を示します。

注意点

清算手続きをする際には、以下の4点に注意してください。

・営業行為の制限
・株主総会の特別決議が必要
・従業員対応
・特別清算手続きとなる場合

まず、営業行為の制限に関してです。
解散決議がなされたあとは、営業行為ができなくなります。つまり、解散決議をするまでに、これまでの取引先に十分な説明をする必要があります。
「廃業を少しでも早く告知する」「新規の取引先を紹介する」など、取引先が不利にならないような配慮をしておきましょう。

続いて、株主総会の特別決議が必要である点です。
株主の構成が複雑な場合、すぐに決議できない場合があります。思う通りに清算手続きをすすめられないケースもありますので、十分注意しておきましょう。

従業員対応も非常に重要です。会社がなくなるわけですから、従業員の今後もしっかりと考えていかなくてはなりません。
解雇の準備や再就職先の紹介など、できる限り対応していくことが好ましいです。

通常の清算手続きができず、特別清算手続きの形を取らなくてはならない場合もあります。
特別清算とは、清算の進行に著しく支障をきたす事情がある場合や、債務超過が疑われる場合に行う手続きです。
裁判所の関与の元で手続きを進めていかなくてはなりません。

特別清算については、次の項で詳しく説明します。

特別清算手続き


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特別清算手続きは、

1:清算の遂行に著しい支障をきたす事情がある場合
2:債務超過の疑いがある場合

に取られる手続きです。裁判所が関与するため、手続き進行が難しい状況であってもスムーズに進められます。

特別清算には、和解型と協定型という2つのパターンがあります。
和解型では、各債権者との間に個別に和解契約を締結します。裁判所の許可を得ることができれば、そのまま契約に効力が生じて和解できます。
協定型では、債権者集会を開催して協定案について決議を得なくてはなりません。協定案は、決議参加債権者の過半数かつ総議決権額の3分の2以上の賛成があれば可決されます。

また、特別清算では破産と違って管財人が選ばれません。債権者の協力が得られる可能性があるときは、破産ではなく特別清算を選ぶという手段もとれます。

弊事務所で取り扱った清算手続き事例


ーー事例1ーー

自動車部品関連の事業を営んでいた会社。会社の資産はなく、負債も代表者夫婦からの貸付のみであったため清算手続きを行った。

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ーー事例2ーー

知人からすすめられた儲け話に乗って介護施設を設立したが、予定と異なり早期に会社を清算してたたんだ。

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破産手続き

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破産とは、事業の赤字状態が続いて改善の見込みがなく、そのまま営業を続ければ負債額が増えるだけだろうと判断されたときに取る廃業手続きです。

破産手続きの手順を以下に簡単にまとめました。

1:弁護士受任通知
金融機関や取引先に、弁護士がついて破産手続きの委任を受けたこと、今後の連絡は法律事務所にしてほしい旨を伝える通知書を送付します。
全ての連絡が法律事務所を通じて行われるため、経営者は債権者からの取り立てや催促に悩まされずに済みます。

2:財産の保全
破産手続きにおいて、申し立てをしてから破産開始決定がされるまでには、多少のタイムラグが発生します。その間に法人・会社が資産を処分してしまうと、後ほど債権者に配当するべき分が減ってしまいます。
そのようなことがないように、裁判所は財産の処分禁止の仮処分や、その他必要な保全処分を命ずることができます。

3:破産申し立て
破産手続き開始申立書を弁護士が作成し、裁判所に提出します。
裁判所は、提出された書類を確認し、破産管財人(裁判所に指名され、破産する法人の財産を債権者に配当する役職)の候補者を探します。
破産管財人には、地域の弁護士が選ばれることが多いです。

4:破産開始決定
裁判所は、提出された書類を確認し、1週間前後で破産手続き開始決定をします。この開始決定と同時に破産管財人が選ばれます。
開始決定後は、会社の全ての財産は管財人の管理下に置かれます。

5:債権者集会
裁判所で債権者集会を行います。第一回の債権者集会は、開始決定から3ヶ月後くらいに行われます。
集会では、破産管財人が、管財業務の状況を報告します。
元経営者が事情の説明をすることはほとんどありません。集会自体も10分前後で終わり、あまり時間を取りません。

6:配当
破産管財人が財産の換価などの業務を全て終わらせたら、配当手続きを行います。この手続は、全て破産管財人が行います。元経営者がなにかをする必要はありません。

7:終結
元経営者も破産手続きをしている場合は、配当手続き完了後に免責決定がなされます。免責決定が確定すると、元経営者の債務はなくなります。

破産手続きに関する「よくある質問」

破産手続きに対して、弊事務所に寄せられる「よくある質問」に回答します。

Q1 破産手続きをすれば、公民権や戸籍に影響はありますか?
A  ありません。これまで通り選挙で投票することができますし、戸籍に破産した事実が記載されることはありません。

Q2 破産をすると就ける職業が制限されますか?
A 破産手続き中は一部の職業に一定の資格制限がかかります。(弁護士・司法書士・行政書士・警備員・生命保険募集人・損害保険代理店など)
それ以外の職業は、破産手続き中でも継続して働き続けることができます。
さらに、資格制限にかかったとしても、破産手続きが完了したあとは解除され、復職が可能です。

Q3 家族への影響はありますか?
A 家族が連帯保証人になっているなど特別な場合を除いて、影響はありません。
就職などで、破産した人が家族にいるからと不利になることもありません。

Q4 破産したあとに、もう一度事業を始めることはできますか?
A できます。ただし、一定期間借入ができなくなることに注意してください。(詳細はQ5に記載)

Q5 信用情報機関に登録がされると聞きましたが?
A はい。一度破産すると、信用情報機関にそのことが登録され、10年間データが残ります。
そのため、破産後10年間は借入が困難になったり、クレジットカードの新規発行が難しくなったりします。
ただし、破産の場合、ほとんどの方が既に返済滞納状態になっており、破産前から事故情報が登録されていることが多いです。
どうしてもクレジットカードが必要な場合、配偶者の家族カードを使用することなどは可能です。

Q6 破産すると官報に記載されると聞きましたが?
A はい。記載されます。
官報とは、国が発行する機関紙です。破産をすると、破産した人の名前や住所が記載されます。
しかし、官報を日常的に読んでいる人はとても少ないです。さらに、細かい文字で何人もの名前が並んでいるため、破産した本人でも自分の名前を探すのが難しいほどです。
官報に記載されたからと言って、そこから情報が拡散される可能性は極めて低いと言えます。

破産をする上での注意点

破産をする上で、注意していきたいのが「破産することにもお金がかかる」点です。

破産手続きで必要となる費用として、

・裁判所に納める費用
・弁護士に依頼する場合は、弁護士費用
・従業員に対する解雇予告手当(予告期間をおかない場合)

などがあります。

さらに従業員の未払い給与がある場合は、それも用意しなくてはなりません。
すぐに用意するのが難しい場合は、未払賃金立替払制度というものがあります。これを使えば、未払い給与の8割を上限に支払いを立替えてもらうことができます。
この制度を利用するのであれば、従業員の解雇から6ヶ月以内に裁判所への申立を行う必要があります。

早めに弁護士にご相談ください

弊事務所では、多くの法人破産案件を取り扱っております。

より具体的な解決事例を知りたい方は、「弊事務所の会社再生・破産専門サイト」をごらんください。

弊事務所に破産の相談に来られる方の多くは、事業がにっちもさっちもいかなくなり、かなり思いつめた状態です。
どうしようもなくなった最後の砦として、弁護士を頼られる方がとても多いのです。

しかし、実は弁護士は最後の砦としての機能だけでなく、会社再生のための手段としての機能も持ち合わせています。

早い段階でご相談いただければ、廃業以外の手段をご提案することもできます。
もちろん、廃業を決意された場合にもご活用いただけます。

どちらにせよ、経営難によって事業主様が苦しまれる前に、早めにご相談いただければと思います。

初回相談料は無料です。お気軽にご連絡ください。

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