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「継続的取引について」


弁護士 黒田充宏(東大阪法律事務所・大阪弁護士会所属)



 
1 継続的契約という言葉についてはあまり馴染みがないかもしれませんが皆様の会社で
  例えば:製造業であればある商品を得意先に継続的に納品していることや製品前の材料を継続的に納品しているなど。
  製造業でなくても継続的に印刷・製本をするなど企業間の取引ではほとんどが継続的契約に該当するかと存じます。

2 法的に継続的契約とは一定の期間にわたり契約関係の存在が前提にされている契約を言います
  (加藤新太郎著「継続的契約の解除・解約」p2)。

3 この継続的契約においては相互に信頼関係が前提となっており一回切りの契約とは別途
  特別な規制を受けることがあります。
  私共東大阪事務所においては特に中小企業集積地であり、
  製造業が多く集積されているためこの継続的契約が問題になることが多々あります。
  例えば:AはBと材料の仕入れ契約をしているところ、仕入れ先Bから来月から単価を倍にしてくれないと
      納品できないというような無茶な主張をして事実上取引関係を拒絶するような
      (多くは大手が中小企業に対して高圧的に主張する事が多いのですが)事態がままあります。

4 このような理不尽な主張に対する対応策については継続的契約の性質を検討しなければなりません。
  継続的契約については多くは製造物供給契約や商品供給契約など基本契約が存在し、
  さらに個別契約が締結されることが通常です。
  個別契約はA商品を50個納期1ヶ月後など具体的な権利義務を決める契約です。
   ただ、個別契約については契約書を作成することの方がまれで大体見積書を出して了解を得る。
  メールFAXで発注書をだす。など簡易なやりとりで成立していることの方が大多数です。

5 この継続的契約には以下の類型に分類できます(中田裕康教授著「継続的売買の解消」p473 甲30)      【1】包括的な継続的売買契約から直接具体的な供給義務が発生するもの    
     【2】具体的供給義務は個別契約の成立によって発生するもの      
        (ア)個別契約は被供給者の一方的意思表示により成立するもの      
        (イ)個別契約は被供給者の申込と供給者の承諾により成立するもの        
           ①形式的には供給者の承諾が必要であるがすでに形骸化しており,
            被供給者の意思表示によって成立するのと同視しうるもの        
           ②個別契約の成立には供給者の現実の承諾が必要であるが,
            供給者は特段の事情ない限り承諾する義務を負うもの    
            ③個別契約の成立には供給者の承諾が必要であり,供給者は個別契約の申込があったときには
            誠実に交渉する義務を負うが承諾義務までは負わないもの

6 冒頭の仕入れ先BからAに対して来月から単価を倍にしてくれないと納品できないというような無茶な主張については
  上記類型に従い例えば発注側A(被供給者)が通常注文書をFAXすれば仕入れ業者B(供給者)が何ら応答せずとも
  納期に納品されるような取引が継続していたのであれば上記(イ)①に該当します。
   すると従前の単価における個別契約が成立していると考えられるためBの倍額の単価要求は
  新たな個別契約の申込みに過ぎないという事になります。
   すなわち、この場合AB間においては旧単価に従い商品を供給する個別契約が成立しているため
  Aは旧単価に基づいて発注すれば良くBの新たな個別契約を受諾する義務はありません。
   逆にBは旧単価に基づく材料の供給義務を負っており、
  これに従ったAの発注を拒めば契約違反(債務不履行責任)に基づく損害賠償責任を負うことになります。

7 とは言うものの、それぞれの取引には業界の商慣行があり、取引の方法も業界によって異なります。
   さらには、各企業間の取引の経過があり、もちろん各企業間の力関係があります。
  これらを踏まえて理不尽な要求にどのように対処するかが中小企業の難しいところであり、
  我々も中小企業経営者のご苦労を偲ぶばかりです。  
   弁護士としてこのような相談をお伺いした際には法的な答えを出すことだけでは不十分であり、
  相談企業の業界の地位、置かれている状況、取引先との力関係、当該商品の依存度、
  資金繰りなど綜合してご回答させていただかなくてはならないと自戒するばかりです。

8 中小企業の経営者の皆様理不尽な主張をされた!納得がいかない!など商取引では多々あるかと存じますが
  そのような場合には一度ご相談頂き、煩わしいことは我々にお任せいただいて本業に御専念頂ければ幸甚です。 
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