解決事例7:売掛金の悪質な踏み倒しを許さなかった事例(リース業)

<事案>

G社はカラオケ機器のリース業等を営む会社です。

G社は、田中一郎氏(仮名)が支配しているA社及びB社の間で、カラオケ危機の保守契約及びカラオケ曲情報提供サービスを提供する契約を締結しました。A社及びB社はカラオケボックス「M」(仮名・屋号)を運営しており、「M」でカラオケを使用するものと思っていました。

ところが田中一郎氏は、「M」をA社やB社ではなく、息子の田中次郎氏(仮名)が運営するC社で、屋号もそのままに、運営させるようになりました。

そこでG社は、C社に対してリース料の請求をしたところ、C社は、田中一郎氏やA社・B社とは別の法人であって、無関係であるから支払わないといって、請求を突っぱねてきました。

このリース料債権回収如何では、G社の屋台骨を揺るがしかねないに事態に発展してしまうため、困り果てたG社は、当事務所に相談に来られました。

 

<解決に至るまで> 

G社からのお話や状況、経緯などを伺うと、田中一郎氏(A社・B社)田中次郎氏(C社)が共謀・結託して債権を踏み倒そうとしている節が伺えました。そこで、このような悪質な債務者には徹底して抗戦すべきであるとの方針を立てて事件に臨むことにしました。

さらに調査を進めると、リース債権の帰属先を意図的に分からなくして支払いを逃れる一方、田中一郎氏・田中次郎氏は会社を隠れ蓑にして、豪奢な自宅を建てるといったことが判明しました。また、計画倒産でもして負債を踏み倒そうとしている姿勢の窺えました。

そこで交渉ではなく、田中一郎氏、A社、B社、田中次郎氏、C社全員を共同被告として訴えることにしました。

 

具体的には、

①田中一郎氏とA社・B社については、「法人格否認の法理」(注1)により、田中一郎氏とA社・B社が一体である。
⇒A社・B社のみならず、田中一郎氏もリース料全額につき支払義務がある。

②田中次郎氏についても、「法人格否認の法理」により、C社と一体である。
⇒C社だけではなく、田中次郎氏もリース料全額について支払義務がある。

③C社は「M」という屋号をそのまま用いて営業を承継しており、C社も商用続用の責任を負う。
⇒田中一郎氏、A社及びB社が負担する債務についてもC社に全額支払義務がある。

などという内容です。

今回の契約においては、リース契約の契約書が存在せず、法的関係も複雑なものであったため、困難を極める訴訟となりました。

しかし、訴訟において事実関係の解明を図っていき、徹底抗戦を進めた結果、田中次郎氏から、
「殺生やないか。許してくれ。」
と懇願されるに至りました。

最終的には、分割とはなったものの、ほぼ全額を回収できるという勝訴的和解という結果を得ることができました。

 

注1:法人格否認の法理とは、独立の法人格をもっている会社においてもその形式的独立性を貫くことが正義公平に反すると認められる場合に、特定の事案の解決のために会社の独立性を否定して、会社とその背後にある株主・社員を同一視する法理のことをいいます。簡単にいうと、本来別々である会社と株主・社員を一体のものとみて、会社が負うべき責任を株主や社員にも負わせようという法理です。

 

<解決のポイント>

中小企業の売掛金回収は、様々な事情から回収困難な事案がたくさんあります。中には、支払えないのではなく、支払えるのに踏み倒そうとする事案すらあります。このような事案では諦めてしまうのは早計です。体力が十分でない中小企業であれば、債権者であるにも関わらず、倒産してしまう恐れもあります。

回収困難な理由はいろいろありますが、諦める前に、まずは弁護士にご相談ください。弁護士はお話を伺った上で、回収するために最大限の努力を払いますが、そのためには事実関係を徹底的に調査し、証拠等を収集することが必要不可欠です。

当然のことですが、弁護士は当事者本人ではありません。そのため、相談者の方には、弁護士と相談の上、必要な事実関係について調べていただくことがあります。しかし、ここでの調査が訴訟の勝敗を決する重要なポイントとなるのです。残念ながら、この部分は弁護士では如何ともしがたいことも多くあります。

「汝は事実を語れ、さらば我は法を語らん」

という言葉もあります。協力すれば、皆様の窮地を救えることはまだまだあります。

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